唐錦枝にひとむら残れるは
秋の形見をたたぬなりけり
- 歌の意味
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唐錦のような紅葉が枝にひとかたまり残っているのは、秋がその形見を裁ち切らずにおいたからなのだ。
- 鑑賞
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巻第四 冬歌 220
詞書「散り残りたる紅葉を見侍りて」
枝に散り残った紅葉のひとかたまりを唐錦に見立て、秋が形見として裁ち切らずに残していったものだととらえる歌である。去った秋を惜しむ心を、錦を裁つという機知に託している。詞書によれば、散り残っている紅葉を見て詠んだ歌である。
作者の「僧正遍昭」は、俗名を良岑宗貞といい、桓武天皇の孫にあたる。仁明天皇の崩御を機に出家し、僧正に至った。六歌仙および三十六歌仙に数えられる。
初句「唐錦」は、舶来の美しい錦で、紅葉の見立てである。本巻の第二百十六首と同じく紅葉を錦と見ている。
二句「枝にひとむら」は、枝にひとかたまり、の意である。
三句「残れるは」は、残っているのは、の意で、「る」は存続の助動詞である。
四句「秋の形見を」は、秋の形見を、の意である。巻第三の巻末の第二百十四首が秋の形見を元結の霜と詠んだのに対し、ここでは散り残った紅葉を秋の形見としている。
結句「たたぬなりけり」は、布を裁たない意と、断ち切らない意とを掛け、「たつ」は唐錦の縁語である。「けり」は気づきの詠嘆を表す。
たつ:布を裁つ意と、断ち切る意とを掛ける
ひとむら:ひとかたまり
- 作者
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遍昭
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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竜田川紅葉葉流る神なびの 三室の山に時雨降るらし
- 次の歌
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流れくる紅葉葉見れば唐錦 滝の糸もて織れるなりけり