飛び通ふ鴛鴦の羽風の寒ければ
池の氷ぞ冴えまさりける
- 歌の意味
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飛び交う鴛鴦の羽ばたきの風が寒いので、池の氷がいっそう冷たく冴えわたることだ。
- 鑑賞
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巻第四 冬歌 232
詞書「題しらず」
池の上を飛び交う鴛鴦の羽ばたきが起こす風の冷たさによって、池の氷がいっそう冷たく張りつめると詠む歌である。鳥の羽風という小さな動きが氷を冴えさせるという見方に、冬の池の冷えきった空気がとらえられている。
作者の「紀友則」は、紀貫之の従兄にあたり、古今和歌集の撰者の一人であるが、集の完成を見ずに没したとされる。三十六歌仙に数えられる。
初句「飛び通ふ」は、飛び交う、行き来する、の意である。
二句「鴛鴦の羽風の」は、鴛鴦の羽ばたきが起こす風が、の意である。本巻の第二百二十八首で霜を払いかねる鴛鴦が詠まれたのを受けている。
三句「寒ければ」は、寒いので、の意で、已然形に「ば」がついて確定した原因を表す。
四句「池の氷ぞ」は、池の氷が、の意で、係助詞「ぞ」による強調である。前歌が鴨の声に氷が解けたかと推し量ったのに対し、こちらは氷がいっそう冴えるとして反転させている。
結句「冴えまさりける」は、いっそう冷たく冴えることだ、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ。
はかぜ:鳥が羽ばたいて起こす風
さえまさる:冷たさがいっそう増す
- 作者
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紀友則
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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池水や氷解くらん蘆鴨の 夜深く声の騒ぐなるかな
- 次の歌
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水の上に思ひしものを冬の夜の 氷は袖のものにぞありける