ちはやぶる平野の松の枝しげみ
千代も八千代も色は変はらじ
- 歌の意味
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平野の社の松は枝が茂っているので、千年も八千年も、その緑の色は変わることがないだろう。
- 鑑賞
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巻第五 賀歌 264
詞書「初めて平野祭に男使立てし時、歌ふべき歌詠ませしに」
平野神社の松の枝がよく茂っていることから、千代も八千代も色を変えずに栄えるだろうと詠む歌である。神の社の松の常磐の緑に、御代の長久を重ねて祝っている。詞書によれば、平野祭に初めて男の勅使を立てた時、祭で歌うための歌として詠ませたものである。平野祭は、山城国の平野神社で四月と十一月に行われた祭である。
作者の「大中臣能宣」は、伊勢神宮の祭主を務めた大中臣氏の出で、自らも祭主を務めた。梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わり、三十六歌仙に数えられる。
初句「ちはやぶる」は、神や神社に関する語にかかる枕詞で、ここでは平野の社を導く。
二句「平野の松の」は、山城国の平野神社の松の、の意である。本巻には松を詠む歌が多く、第二百六十七首の「春日山木高き松」、第二百七十五首の「色変へぬ松」などへと続いていく。
三句「枝しげみ」は、枝が茂っているので、の意で、形容詞の語幹に「み」をつけて理由を表す語法である。
四句「千代も八千代も」は、千年も八千年も、の意で、限りなく長い年月をいう。
結句「色は変はらじ」は、色は変わらないだろう、の意で、「じ」は打消推量の助動詞である。本巻の第二百七十五首の初句「色変へぬ」、第二百九十四首の「変はらぬ花の色」と、変わらぬ色に長久を託す趣向を共有している。
ひらのまつり:平野神社で四月と十一月に行われた祭
をとこづかひ:祭などに朝廷から遣わされる男の勅使
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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万代の始めと今日を祈りおきて 今行末は神ぞ知るらん
- 次の歌
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蒲生野のたまのを山に住む鶴の 千年は君が御代の数なり