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二葉より頼もしきかな春日山
木高き松の種ぞと思へば

歌の意味
双葉のころから頼もしいことだ。春日山の、高くそびえる松の種だと思うので。
鑑賞
巻第五 賀歌 267

詞書「藤氏の産屋にまかりて」
 藤原氏の家に生まれた子を、春日山に高くそびえる松の種にたとえ、双葉のころから頼もしいと祝う歌である。春日山は藤原氏の氏神である春日大社の山で、一門の繁栄を背景に、生まれた子の将来の栄達を予祝している。詞書によれば、藤原氏の家の産屋に参上して詠んだ歌である。
 作者の「よしのふ」は大中臣能宣である。伊勢神宮の祭主を務めた大中臣氏の出で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わった。三十六歌仙に数えられる。

 初句「二葉より」は、芽を出したばかりの双葉の時から、の意で、生まれたばかりの子をたとえている。
 二句「頼もしきかな」は、頼もしいことだ、の意で、「かな」は詠嘆である。ここで句切れとなり、倒置によって理由を後に示している。
 三句「春日山」は、大和国の春日山で、藤原氏の氏神である春日大社の背後の山である。
 四句「木高き松の」は、高くそびえる松の、の意で、藤原氏の繁栄をたとえる。本巻の第二百六十四首の「平野の松」に続き、松に寄せて長久を祝う歌が並ぶ。
 結句「種ぞと思へば」は、種であると思うので、の意で、已然形に「ば」がついて理由を表す。前歌の雉の作り物に続き、誕生を祝う産屋の歌が続いていく。

ふたば:芽を出したばかりの二枚の葉
うぶや:出産のための産室。また誕生後に行う祝い
とうし:藤原氏
作者
大中臣能宣
出典
拾遺和歌集
前の歌
朝まだききりふの岡にたつ雉は 千代のひつぎの始めなりけり
次の歌
君が経ん八百万代を数ふれば かつがつ今日ぞ七日なりける