君が経ん八百万代を数ふれば
かつがつ今日ぞ七日なりける
- 歌の意味
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あなたがこれから過ごすであろう八百万代を数えると、まだやっと今日で七日になったばかりだ。
- 鑑賞
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巻第五 賀歌 268
詞書「産屋の七夜にまかりて」
御子がこれから生きる八百万代という果てしない年月を数えれば、今日の七夜はまだそのわずかな始まりにすぎないと詠む歌である。七日という短さと八百万代という長さを対比させ、行く末の限りない長寿を祝っている。詞書によれば、産屋の七夜の祝いに参上して詠んだ歌である。
作者の「よしのふ」は大中臣能宣である。伊勢神宮の祭主を務めた大中臣氏の出で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わった。三十六歌仙に数えられる。
初句「君が経ん」は、あなたがこれから過ごすであろう、の意で、「ん」は推量の助動詞である。
二句「八百万代を」は、限りなく長い年月を、の意である。本巻の第二百九十三首も「やほよろづよ」と詠んでいる。
三句「数ふれば」は、数えてみると、の意である。
四句「かつがつ今日ぞ」は、やっと今日が、の意で、「かつがつ」はかろうじて、ようやく、の意を表す。
結句「七日なりける」は、七日になったのだった、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ。次歌の第二百六十九首も「七日になりにけり」と詠み、七夜の歌が並ぶ。八百万代と七日という、同じ祝いを長短の尺度で扱っている。
やほよろづよ:限りなく長い年月
ふ:時を過ごす。経る
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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二葉より頼もしきかな春日山 木高き松の種ぞと思へば
- 次の歌
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今年生ひの松は七日になりにけり 残りのほどを思ひこそやれ