千年とも数は定めず世の中に
限りなき身と人も言ふべく
- 歌の意味
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千年などと数を定めはしない。世の中で、限りない命をもつ身だと人も言うほどに長く生きてほしい。
- 鑑賞
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巻第五 賀歌 270
詞書「ある人の産屋にまかりて」
千年などと年数を区切ることはせず、世の人々が限りない命の人だと言うほどに長く生きてほしいと祝う歌である。千年という長寿の定型さえ超えて、限りない齢を願う点に祝意の強さがある。詞書によれば、ある人の家の産屋に参上して詠んだ歌である。
作者の「よしのふ」は大中臣能宣である。伊勢神宮の祭主を務めた大中臣氏の出で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わった。三十六歌仙に数えられる。
初句「千年とも」は、千年などとも、の意である。本巻の第二百九十八首の初句も同じ「千年とも」で始まり、千年と区切ることを退ける趣向を共有している。
二句「数は定めず」は、年数は定めない、の意で、ここで句切れとなる。
三句「世の中に」は、世の中で、の意である。
四句「限りなき身と」は、限りない命をもつ身だと、の意である。本巻の第二百八十三首の「思ふ心の限りなければ」とも響き合っている。
結句「人も言ふべく」は、人も言うことができるほどに、の意で、「べく」は助動詞「べし」の連用形である。言いさしの形で余情を残している。
よのなか:世間。人の世
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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今年生ひの松は七日になりにけり 残りのほどを思ひこそやれ
- 次の歌
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老いぬれば同じ事こそせられけれ 君は千代ませ君は千代ませ