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老いぬれば同じ事こそせられけれ
君は千代ませ君は千代ませ

歌の意味
年老いてしまうと、同じことばかり繰り返してしまうものだ。あなたは千年も生きていらっしゃい。あなたは千年も生きていらっしゃい。
鑑賞
巻第五 賀歌 271

詞書「藤原誠借元服し侍りける夜、詠みける」
 年を取ると同じことばかり繰り返してしまうと戯れながら、「君は千代ませ」を二度重ねて元服の祝いを述べる歌である。老いの繰り言に見せかけて祝いの言葉を繰り返す機知があり、老いた作者の温かな祝意がにじんでいる。詞書によれば、藤原誠信が元服した夜に詠んだ歌である。誠信は藤原為光の子である。原文の詞書には「誠借」とあるが、誠信の誤りと見られる。
 作者の「源したかふ」は源順である。嵯峨源氏の出で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わった。和名類聚抄を編んだことでも知られ、三十六歌仙に数えられる。

 初句「老いぬれば」は、年老いてしまうと、の意で、已然形に「ば」がついて、そうなるといつも、という恒常的な条件を表す。
 二句「同じ事こそ」は、同じことを、の意で、係助詞「こそ」による強調である。
 三句「せられけれ」は、してしまうものだ、の意で、「られ」は自発の助動詞「らる」の連用形であり、係助詞「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ。ここで句切れとなる。
 四句「君は千代ませ」は、あなたは千年も生きていらっしゃい、の意で、「ませ」は「あり」の尊敬語「ます」の命令形である。
 結句「君は千代ませ」は、四句をそのまま繰り返し、上の句でいう「同じ事」を自ら実演してみせている。

ます:いらっしゃる。あるの尊敬語
げんぷく:男子が成人して初めて冠をつける儀式。元服
作者
源順
出典
拾遺和歌集
前の歌
千年とも数は定めず世の中に 限りなき身と人も言ふべく
次の歌
結ひ初むる初元結の濃紫 衣の色に移れとぞ思ふ