君がため今日切る竹の杖なれば
またも尽きせぬよよぞこもれる
- 歌の意味
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あなたのために今日切る竹の杖であるから、その節々には、これからも尽きることのない幾代もの齢がこもっている。
- 鑑賞
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巻第五 賀歌 280
詞書「同じ人の七十の賀し侍りけるに、竹の杖を作りて」
七十の賀のために今日切った竹の杖には、竹の節々ごとに、これからも尽きることのない幾代もの齢がこもっていると詠む歌である。竹の節と世とを掛けて、さらなる長寿を祝っている。詞書によれば、同じ人すなわち藤原実頼の七十の賀に、竹の杖を作って贈った時の歌である。
作者の「よしのふ」は大中臣能宣である。伊勢神宮の祭主を務めた大中臣氏の出で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わった。三十六歌仙に数えられる。
初句「君がため」は、あなたのために、の意である。
二句「今日切る竹の」は、今日切る竹の、の意である。
三句「杖なれば」は、杖であるので、の意である。本巻の第二百七十六首の三句と同じ句で、竹の杖に齢を込める趣向を共有している。
四句「またも尽きせぬ」は、これからもまた尽きることのない、の意である。第二百七十六首の「つきじ」と響き合っている。
結句「よよぞこもれる」は、幾代もの意の「世々」と、竹の節と節の間をいう「節々(よよ)」とを掛け、係助詞「ぞ」を受けて連体形「る」で結ぶ。
よよ:幾代もの意の世々と、竹の節と節の間の意の節々とを掛ける
こもる:中に含まれる
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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我が宿に咲ける桜の花盛り 千年見るとも飽かじとぞ思ふ
- 次の歌
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くらゐ山峰まで突ける杖なれど 今万代の坂のためなり