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松をのみ常磐と思ふに世とともに
流す泉も緑なりけり

歌の意味
松だけが常に緑で変わらないものと思っていたのに、いつの世も絶えず流れ出す泉もまた、緑の色であったのだ。
鑑賞
巻第五 賀歌 291

詞書「延喜の御時御屏風に」
 常緑のものは松だけだと思っていたが、いつの世も絶えず湧き流れる泉もまた緑の色を保っていると気づく歌である。松の影を映して緑に見える泉の水に、絶えることのない長久を見いだしている。詞書によれば、醍醐天皇の延喜の御代の御屏風に添えた歌である。
 作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。

 初句「松をのみ」は、松だけを、の意で、「のみ」は限定を表す。
 二句「常磐と思ふに」は、常緑の変わらないものと思っていたのに、の意である。前歌までの子の日の松を受け、松の常磐が続いている。
 三句「世とともに」は、いつの世も変わらず、の意である。
 四句「流す泉も」は、水を流し続ける泉も、の意である。
 結句「緑なりけり」は、緑の色であったのだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。

ときは:常に緑の色を変えないこと
作者
紀貫之
出典
拾遺和歌集
前の歌
行く末も子の日の松のためしには 君が千年を引かんとぞ思ふ
次の歌
水無月の夏越の祓へする人は 千年の命延ぶといふなり