千年とぞ草むらごとに聞こゆなる
こや松虫の声にはあるらん
- 歌の意味
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「千年」と、どの草むらからも聞こえてくるようだ。これが松虫の声なのだろうか。
- 鑑賞
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巻第五 賀歌 295
詞書「廉義公の家にて人々に歌詠ませ侍りけるに、草むらの中の夜の虫といふ題を」
どの草むらからも「千年」と鳴く声が聞こえる、これこそ松虫の声なのだろうと詠む歌である。松虫の「松」が千年の齢をもつ松に通うことから、虫の声を長寿を祝う声と聞きなし、主の長寿を祝っている。詞書によれば、廉義公すなわち藤原頼忠の家で、人々に「草むらの中の夜の虫」という題で歌を詠ませた時の歌である。なお原文の詞書には「く、むら」とあり、ここでは「草むら」と解して表記する。
作者の「平兼盛」は、光孝天皇の流れをくむ平氏の出で、平安時代中期の歌人である。天徳四年の内裏歌合での活躍で知られ、三十六歌仙に数えられる。
初句「千年とぞ」は、千年と、の意で、係助詞「ぞ」による強調である。
二句「草むらごとに」は、どの草むらにも、の意である。
三句「聞こゆなる」は、聞こえるようだ、の意で、「なる」は音を聞いて判断する推定の助動詞であり、係助詞「ぞ」を受けて連体形で結ぶ。ここで句切れとなる。
四句「こや松虫の」は、これが松虫の、の意で、「こ」は指示代名詞、「や」は疑問の係助詞である。「松虫」の「松」に千年の松を響かせ、前歌までの松の歌を虫の名で受けている。
結句「声にはあるらん」は、声であるのだろうか、の意で、係助詞「や」を受けて連体形「らん」で結ぶ。次歌の第二百九十六首は千鳥の声を詠み、虫から鳥へと声の歌が続く。
まつむし:秋に鳴く虫。名に長寿の松を響かせる
くさむら:草が群がり茂った所
- 作者
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平兼盛
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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万代に変はらぬ花の色なれば いづれの秋か君が見ざらん
- 次の歌
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誰が年の数とかは見ん行き帰り 千鳥鳴くなる浜の真砂を