雁がねの帰るを聞けば別れ路は
雲居遥かに思ふばかりぞ
- 歌の意味
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雁が北へ帰っていく声を聞くと、あなたとの別れの道は、雲のかなたほど遥かに思われるばかりだ。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 304
詞書「ものへまかりける人のもとに、人々まかりて、土器取りて」
雁が北へ帰っていく声を聞くにつけ、旅立つ人との別れの道は、雲の上ほど遥かに思われると詠む歌である。春に帰る雁の遠い旅路に、これから隔たる道の遠さを重ねている。詞書によれば、旅に出る人のもとに人々が集まり、別れの盃を取った席で詠んだ歌である。
作者の「曾禰のよしたた」は曾禰好忠である。丹後掾を務めたことから曾丹とも呼ばれ、毎月集などで知られる平安時代中期の歌人である。中古三十六歌仙に数えられる。
初句「雁がねの」は、雁の、の意で、春に北へ帰る雁をいう。本巻の第三百四十五首、第三百五十三首にも雁が詠まれ、旅や便りと結びついて巻の中に繰り返し現れる。
二句「帰るを聞けば」は、帰っていく声を聞くと、の意である。旅立つ人の「行く」に対して雁の「帰る」を置いている。
三句「別れ路は」は、別れて行く道は、の意である。
四句「雲居遥かに」は、雲のかなたほど遥かに、の意である。本巻の第三百十一首の「隔つる雲」と、遠く隔てるものとしての雲を共有している。
結句「思ふばかりぞ」は、思われるばかりだ、の意で、「ぞ」は文末で強める終助詞である。
かりがね:雁。また雁の鳴き声
くもゐ:雲のある所。遠く隔たった所
かはらけ:素焼きの盃
- 作者
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曾禰好忠
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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散る花は道見えぬまでうづまなん 別るる人も立ちや止まると
- 次の歌
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夏衣たち別るべき今宵こそ ひとへに惜しき思ひ添ひぬれ