別れ路は渡せる橋もなきものを
いかでか常に恋ひわたるべき
- 歌の意味
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別れの道には渡してある橋もないのに、どうしていつまでも恋い慕い続けて渡って行けようか。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 318
詞書「兼盛、駿河守にて下り侍りける、馬のはなむけし侍るとて」
別れの道には架け渡した橋もないのに、どうしてこれから先ずっと恋い慕い続けることができようかと詠む歌である。「恋ひわたる」の「わたる」に橋の縁を見いだし、渡る橋もない遠い隔たりを嘆いている。詞書によれば、平兼盛が駿河守として任国へ下る時、餞別の宴を開いて詠んだ歌である。
作者の「源したかふ」は源順である。嵯峨源氏の出で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わった。和名類聚抄を編んだことでも知られ、三十六歌仙に数えられる。
初句「別れ路は」は、別れて行く道には、の意である。
二句「渡せる橋も」は、架け渡してある橋も、の意で、「る」は存続の助動詞である。前歌の第三百十七首の八橋を受け、橋の歌が続く。
三句「なきものを」は、ないのに、の意で、「ものを」は逆接を表す。
四句「いかでか常に」は、どうしていつも、の意で、「か」は反語の係助詞である。
結句「恋ひわたるべき」は、恋い続けることができようか、の意で、「わたる」に橋を渡る意と、ずっと続ける意とを掛け、係助詞「か」を受けて連体形「べき」で結ぶ反語である。前歌の「思ひわたらん」と、同じ掛詞を共有して対をなしている。
わたる:橋を渡る意と、ある状態を続ける意とを掛ける
- 作者
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源順
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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もろともに行かぬ三河の八橋は 恋しとのみや思ひわたらん
- 次の歌
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月影は飽かず見るとも更級の 山の麓に長居すな君