涙川底の水屑となりはてて
恋しき瀬々に流れこそすれ
- 歌の意味
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涙の川の底に沈む水屑となり果てて、恋しく思う折々ごとに流れ流れていることだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 877
詞書「万葉集和し侍りける歌」
涙の川の底に沈むごみくずのようになり果てて、恋しさがつのる折々に流されてゆくと詠む歌である。恋の涙にさいなまれてみじめな身となった我が身を、川底の水屑にたとえている。
詞書から、万葉集の歌に和して詠んだ歌とわかる。
作者の「源したがふ」は源順である。嵯峨源氏の出で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読にあたり、辞書の和名類聚抄を編んだ。三十六歌仙に数えられる。
前歌に続き、「涙川」を詠む一連の三首目である。なお本文の二句は「そこのみくづと」とあり、読み仮名の行の「そてのみくつと」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。読み仮名の行によれば、袖の水屑の意となる。
初句「涙川」は、涙を川にたとえた語で、前歌の第八百七十五首、第八百七十六首と同じ初句である。
二句「底の水屑と」は、川底に沈む水屑として、の意である。前歌の「袖のしがらみ」に堰かれずに流れた涙の果てを、川底の水屑として受けている。
三句「なりはてて」は、すっかりなってしまって、の意である。
四句「恋しき瀬々に」は、恋しく思う折々に、の意で、「瀬」は川の浅瀬と、折、機会の意を重ねている。
結句「流れこそすれ」は、流れていることだ、の意で、係助詞「こそ」を受けてサ変動詞「す」の已然形「すれ」で結んでいる。
みくづ:水屑。水中のごみくず
せぜ:瀬々。川のあちこちの瀬。転じて、折々
- 作者
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源順
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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涙川落つる水上早ければ 堰きぞかねつる袖のしがらみ
- 次の歌
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人知れず落つる涙の積もりつつ 数かくばかりなりにけるかな