涙川落つる水上早ければ
堰きぞかねつる袖のしがらみ
- 歌の意味
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涙の川は、流れ落ちる水源の流れが速いので、袖のしがらみでは堰き止めることができないことだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 876
詞書は前の歌に続き「題しらず」
涙の川は源から勢いよく流れ落ちるので、袖をしがらみにしても堰き止めることができないと詠む歌である。涙を川、涙をぬぐう袖をしがらみに見立て、こらえきれずにあふれ出る恋の涙を詠んでいる。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
前歌に続き、「涙川」を詠む一連の二首目である。
初句「涙川」は、涙を川にたとえた語で、前歌の第八百七十五首と同じ初句である。
二句「落つる水上」は、流れ落ちる水源が、の意である。涙の源である心の内を、川の水源に見立てている。
三句「早ければ」は、流れが速いので、の意で、「ば」は順接の確定条件を表す。前歌の「のどかに」と、流れの緩急で対をなしている。
四句「堰きぞかねつる」は、堰き止めることができない、の意で、係助詞「ぞ」を受けて完了の助動詞「つ」の連体形「つる」で結んでいる。本巻の第八百六十二首の結句「ねぎぞかねつる」と、同じ「ぞかねつる」の言い回しを用いている。
結句「袖のしがらみ」は、袖で作ったしがらみ、の意で、体言止めである。涙をぬぐう袖を、川の流れを堰くしがらみに見立てている。
みなかみ:水上。川の水源。上流
せく:堰く。流れをせき止める
しがらみ:柵。川の流れをせき止めるため、杭を打ち並べて竹や木の枝をからませたもの
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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涙川のどかにだにも流れなん 恋しき人の影や見ゆると
- 次の歌
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涙川底の水屑となりはてて 恋しき瀬々に流れこそすれ