涙川のどかにだにも流れなん
恋しき人の影や見ゆると
- 歌の意味
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涙の川よ、せめてゆったりとだけでも流れてほしい。恋しい人の面影が映って見えるかと。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 875
詞書は前の歌に続き「題しらず」
とめどなく流れる涙を川にたとえ、せめて穏やかに流れてくれれば、その水面に恋しい人の面影が映って見えるかもしれないと詠む歌である。激しく流れる涙をせめて静めたいという願いに、面影だけでも見たい思いを重ねている。
ここから本巻の第八百七十七首まで、「涙川」を詠む歌が三首続く。
初句「涙川」は、涙がとめどなく流れるさまを川にたとえた語である。次歌の第八百七十六首、第八百七十七首の初句も「涙川」で、三首が同じ初句で並んでいる。
二句「のどかにだにも」は、せめて穏やかにだけでも、の意で、「だに」は最小限の願いを表す。
三句「流れなん」は、流れてほしい、の意で、「なん」は他に対する願望を表す終助詞である。ここで句切れとなる。
四句「恋しき人の」は、恋しい人の、の意である。
結句「影や見ゆると」は、面影が見えるかと、の意で、「や」は疑問を表す。水面に映る影と恋人の面影を重ねている。本巻の第八百七十九首の「影はなれゆく」、第八百八十一首の「人の影を見つらん」と、水に映る影を詠む点を共有している。
なみだがは:涙川。とめどなく流れる涙を川にたとえた語
かげ:影。水に映る姿。面影
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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かくばかり恋しきものと知らませば よそに見るべくありけるものを
- 次の歌
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涙川落つる水上早ければ 堰きぞかねつる袖のしがらみ