かくばかり恋しきものと知らませば
よそに見るべくありけるものを
- 歌の意味
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これほどまでに恋しいものだと知っていたなら、関わりのない人として遠くから見ているべきであったのに。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 874
詞書は前の歌に続き「題しらず」
これほど恋しくつらいものと知っていたら、はじめから関わりのない人としてよそながら見ているだけにしておけばよかったと悔やむ歌である。恋の苦しさを知った後で、恋を始めたことそのものを悔いる心を詠んでいる。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。
万葉集に、四句を「遠く見るべく」とする類歌が収められている。
初句「かくばかり」は、これほどまでに、の意である。
二句「恋しきものと」は、恋しいものであると、の意である。
三句「知らませば」は、もし知っていたなら、の意で、「ませ」は反実仮想の助動詞「まし」の未然形である。
四句「よそに見るべく」は、関わりのない人として遠くから見ているべきで、の意である。
結句「ありけるものを」は、あったのになあ、の意で、「ものを」は逆接の詠嘆を表す。三句の「ませば」と呼応して、事実とは反対のことを仮定し、悔いる心を表している。
よそ:余所。自分とは関わりのないところ
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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恋ひ恋ひて後も逢はむと慰むる 心しなくは命あらめや
- 次の歌
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涙川のどかにだにも流れなん 恋しき人の影や見ゆると