思ふ人ある方へ行く別れ路を
惜しむ心ぞかつはわりなき
- 歌の意味
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慕う人のいる方へと行く別れの道を、惜しむ心は、一方では道理に合わないことだ。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 332
詞書「藤原雅正が豊前守に侍りける時、為頼がおぼつかなしとて下り侍りけるに、馬のはなむけし侍るとて」
慕う人のいる所へ向かう旅であるから、その別れを惜しむ心は道理に合わないと知りつつ、それでも惜しまずにはいられないと詠む歌である。旅立つ人の喜びを思いやりながら、残される者の寂しさを抑えきれない心を表している。詞書によれば、藤原雅正が豊前守であった時、子の為頼が父の身を案じて下るので、餞別の宴を催して詠んだ歌である。
作者の「藤原清正」は、藤原兼輔の子で、平安時代中期の歌人である。三十六歌仙に数えられる。
初句「思ふ人」は、慕う人、すなわち旅立つ為頼にとっての父雅正を指している。
二句「ある方へ行く」は、いる方へ行く、の意である。
三句「別れ路を」は、別れて行く道を、の意である。
四句「惜しむ心ぞ」は、惜しむ心は、の意で、係助詞「ぞ」による強調である。
結句「かつはわりなき」は、一方では道理に合わない、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「わりなき」で結ぶ。「かつは」は、惜しみつつも、その一方で、という心の二面を表している。
おぼつかなし:様子がわからず気がかりである
- 作者
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藤原清正
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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亀山にいく薬のみありければ とどむる方もなき別れかな
- 次の歌
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いかばかり思ふらんとか思ふらん 老いて別るる遠き別れを