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いかばかり思ふらんとか思ふらん
老いて別るる遠き別れを

歌の意味
私がどれほど悲しく思っているだろうと、あなたは思っているだろうか。老いて別れて行く、この遠い別れを。
鑑賞
巻第六 別歌 333

詞書「肥後守にて清原元輔下り侍りけるに、源満仲、餞し侍りけるに、土器取りて」
 年老いてから遠い肥後へ下る別れを、自分がどれほど悲しく思っているか、あなたは思いやってくれているだろうかと詠む歌である。「思ふらん」を重ねて問いかけ、老いの身で再会の望みも薄い遠国への旅立ちの心細さを表している。詞書によれば、元輔が肥後守として下る時、源満仲が餞別の宴を催し、その席で盃を取って詠んだ歌である。元輔は七十九歳で肥後守となったと伝えられる。
 作者の「もとすけ」は清原元輔である。清原深養父の孫で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わった。清少納言の父で、三十六歌仙に数えられる。

 初句「いかばかり」は、どれほど、の意である。
 二句「思ふらんとか」は、私が思っているだろうと、の意で、「か」は疑問の係助詞である。
 三句「思ふらん」は、あなたは思うだろうか、の意で、係助詞「か」を受けて連体形「らん」で結ぶ。二句と三句で「思ふらん」を重ね、互いの心を推し量っている。ここで句切れとなる。
 四句「老いて別るる」は、年老いて別れる、の意である。次歌の第三百三十四首は、この「老い」に対して「行く末遠し」と返している。
 結句「遠き別れを」は、遠い地への別れを、の意で、倒置によって何を思うのかを後に示している。年齢の遠さと道のりの遠さとが重ねられている。

かはらけ:素焼きの盃
作者
清原元輔
出典
拾遺和歌集
前の歌
思ふ人ある方へ行く別れ路を 惜しむ心ぞかつはわりなき
次の歌
君はよし行く末遠し止まる身の 待つほどいかがあらんとすらん