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東路の木のしたくらくなりゆかば
都の月を恋ひざらめやは

歌の意味
東国への道の木の下が暗くなっていったならば、都の月を恋しく思わないことがあろうか、きっと恋しく思うだろう。
鑑賞
巻第六 別歌 340

詞書「実方朝臣陸奥へ下り侍りけるに、下鞍つかはすとて」
 東国への道を進み、木々の下が暗くなっていったならば、都の月をきっと恋しく思うだろうと詠む歌である。餞別の下鞍に寄せて「下暗く」を掛け、陸奥へ下る友の心細い旅路を思いやり、都を忘れないでほしいという思いを込めている。詞書によれば、藤原実方が陸奥守として下る時、下鞍を贈るにあたって詠んだ歌である。
 作者の「右衛門督公任」は藤原公任である。関白藤原頼忠の子で、権大納言に至った。和漢朗詠集を撰び、詩歌管弦に秀でた当代一の文化人として知られる。

 初句「東路の」は、東国へ向かう道の、の意である。
 二句「木のしたくらく」は、木の下が暗く、の意で、贈り物の「下鞍」と「下暗く」とを掛けている。
 三句「なりゆかば」は、なっていったならば、の意で、未然形に「ば」がついて仮定を表す。
 四句「都の月を」は、都で見た月を、の意である。本巻の第三百十九首は旅先の更級の月に長居するなと詠んだが、ここでは旅先から都の月を恋うと詠み、旅先の月と都の月とが対をなしている。
 結句「恋ひざらめやは」は、恋しく思わないことがあろうか、の意で、「やは」は反語を表す。

したくら:鞍の下に敷く布や革の具の下鞍と、下暗くの意とを掛ける
作者
藤原公任
出典
拾遺和歌集
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便りあらばいかで都へ告げやらん 今日白河の関は越えぬと
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