遥かなる旅の空にも後れねば
うらやましきは秋の夜の月
- 歌の意味
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遥かな旅の空にも後れずについて行けるのだから、うらやましいのは秋の夜の月であることだ。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 347
詞書「源公貞が大隅へまかり下りけるに、関戸の院にて、月の明かかりけるに、別れ惜しみ侍りて」
遥かな旅の空にも後れずについて行けるので、うらやましいのは秋の夜の月だと詠む歌である。旅人と共にどこまでも行ける月をうらやむことで、自分は都に残らねばならない別れの悲しさを表している。詞書によれば、源公貞が大隅国へ下る時、関戸の院で月の明るい夜に別れを惜しんで詠んだ歌である。
作者の「平兼盛」は、光孝天皇の流れをくむ平氏の出で、平安時代中期の歌人である。天徳四年の内裏歌合での活躍で知られ、三十六歌仙に数えられる。
初句「遥かなる」は、遥かな、の意で、大隅国への遠い旅路をいう。
二句「旅の空にも」は、旅の空にも、の意である。前々歌の第三百四十五首の「旅の空」と同じ句を共有している。
三句「後れねば」は、後れることがないので、の意で、已然形に「ば」がついて理由を表す。本巻の第三百二十三首、第三百二十四首、第三百三十五首が残される者の「後る」を嘆いたのに対し、ここでは後れずについて行ける月を詠んでいる。
四句「うらやましきは」は、うらやましいのは、の意である。
結句「秋の夜の月」は、秋の夜の月で、体言止めである。本巻の第三百十九首、第三百四十首とともに、月が別れと旅の景として詠まれている。
せきどのゐん:山城と摂津の境の関戸にあった宿所
- 作者
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平兼盛
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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君をのみ恋ひつつ旅の草枕 露しげからぬ暁ぞなき
- 次の歌
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女郎花我に宿貸せいなみ野の いなと言ふともここを過ぎめや