船路には草の枕も結ばねば
おきながらこそ夢も見えけれ
- 歌の意味
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船の旅では草の枕を結ぶこともないので、沖の上で起きたままで、夢を見ることだ。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 349
詞書「筑紫へ下りける道にて」
船旅では草を結んで枕にすることもないので、沖の上で起きたまま夢を見ると詠む歌である。陸の旅寝の決まり事である草の枕を持ち出し、船の上では満足に眠ることもできない旅の心細さを、「沖」と「起き」の掛詞で表している。詞書によれば、筑紫へ下る道中の歌である。
作者の「重之」は、清和源氏の出の源重之である。地方官を歴任して諸国を旅し、陸奥で没したと伝えられる。三十六歌仙に数えられる。
初句「船路には」は、船の旅では、の意である。前歌までの陸路の旅に対し、ここから海路の旅が詠まれる。
二句「草の枕も」は、旅寝の草の枕も、の意である。本巻の第三百四十四首からの草の枕の歌を受け、草を結ぶことのない船旅へと転じている。
三句「結ばねば」は、結ばないので、の意で、「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形である。
四句「おきながらこそ」は、海上の「沖」と、眠らずに「起き」とを掛け、係助詞「こそ」で強めている。
結句「夢も見えけれ」は、夢も見えることだ、の意で、係助詞「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ。眠らないのに夢を見るという矛盾によって、うつつと夢の境もおぼろな船旅の心を表している。
おき:海上の沖と、眠らずに起きている意の起きとを掛ける
ふなぢ:船で行く旅路
- 作者
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源重之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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女郎花我に宿貸せいなみ野の いなと言ふともここを過ぎめや
- 次の歌
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思ひ出もなき古里の山なれど 隠れゆくはたあはれなりけり