白浪のうちかくるすの乾かぬに
我が袂こそ劣らざりけれ
- 歌の意味
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白波が打ち寄せてかかる洲がいつも乾かないのに、涙に濡れる私の袂も、それに劣らないことだ。
- 鑑賞
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巻第七 物名 377
詞書「くるすの」
白波が打ち寄せる洲がいつも乾かないのに劣らず、自分の袂も涙に濡れて乾く間がないと詠む歌である。波に濡れる洲に涙の袂を重ね、二句の「うちかくるすの」の音の続きに、詞書の「栗栖野」の名を隠している。詞書の「くるすの」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「すけみ」は藤原輔相である。藤原弘経の子で、藤六と呼ばれた平安時代中期の歌人である。物名の歌を得意とし、家集に藤六集がある。
初句「白浪の」は、白波が、の意である。
二句「うちかくるすの」は、打ち寄せてかかる洲が、の意で、「くるすの」の名を隠している。前歌の印南野に続き、地名を隠す歌である。
三句「乾かぬに」は、乾かないのに、の意である。前歌の雨に続き、濡れることが詠まれる。
四句「我が袂こそ」は、私の袂も、の意で、係助詞「こそ」による強調である。
結句「劣らざりけれ」は、劣らないことだ、の意で、係助詞「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ。本巻の第三百九十首も同じ結句である。
くるすの:栗栖野。山城国の地名。「打ち掛くる洲の」の音の続きに隠して詠み込む
す:川や海の中に土砂が積もって水面に現れた所。洲
たもと:袖
- 作者
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藤原輔相
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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住吉の岡の松かささしつれば 雨は降るともいなみのは着じ
- 次の歌
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水もなく舟も通はぬこのしまに いかでかあまのなまめかるらん