一夜ねてうしとらこそは思ひけめ
うき名たつみぞわびしかりける
- 歌の意味
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一夜共に寝て、あの人はつらいと思ったのだろう。浮き名の立つ我が身こそ、わびしいことだ。
- 鑑賞
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巻第七 物名 429
詞書「子、丑、寅、卯、辰、巳」
一夜を共にして相手はつらいと思ったのだろう、浮き名が立つ我が身こそわびしいと嘆く歌である。はかない契りと噂に苦しむ恋の嘆きの中に、子、丑、寅、卯、辰、巳の六つの十二支を順に隠している。詞書の六つの名は、この歌に詠み込まれた物の名である。
初句「一夜ねて」は、一夜共に寝て、の意で、「ね」に十二支の「子」を隠している。
二句「うしとらこそは」は、つらいとこそ、の意で、「うし」に「丑」、「とら」に「寅」を隠している。係助詞「こそ」による強調である。前歌までの干支に続き、ここから十二支を隠す歌が二首並ぶ。
三句「思ひけめ」は、思ったのだろう、の意で、「けめ」は過去推量の助動詞「けむ」の已然形であり、係助詞「こそ」を受けて結ぶ。ここで句切れとなる。
四句「うき名たつみぞ」は、浮き名の立つ身が、の意で、「う」に「卯」、「たつ」に「辰」、「み」に「巳」を隠している。係助詞「ぞ」による強調である。
結句「わびしかりける」は、わびしいことだ、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ。
ね:十二支の子。「寝て」に隠して詠み込む
うし:十二支の丑。「憂し」に隠して詠み込む
とら:十二支の寅。「憂しとら」の音の続きに隠して詠み込む
う:十二支の卯。「憂き名」に隠して詠み込む
たつ:十二支の辰。「立つ」に隠して詠み込む
み:十二支の巳。「身」に隠して詠み込む
うきな:悪い評判。浮き名
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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さをしかのとも惑はせる声すなり 妻や恋しき秋の山辺に
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むまれよりひつしつくれば山にさる ひとりいぬるにひとゐていませ