年ごとに絶えぬ渡やつもりつつ
いとど深くは身を沈むらん
- 歌の意味
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年ごとに絶えることのない涙が積もり積もって、ますます深く我が身を沈めているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 443
詞書「除目の朝に、命婦左近がもとに遣はしける」
年ごとに絶えず流す涙が積もり積もって、ますます深く我が身を沈めているのだろうかと詠む歌である。詞書から、除目の翌朝に命婦左近のもとへ送った歌とわかり、この年の除目でも望む官職を得られなかった嘆きを、涙の深みに身が沈むという形で訴えている。前の二首の「沈む」月を受け、ここからは官途に沈む身の嘆きの歌が続く。
作者の「もとすけ」は清原元輔である。清原深養父の孫で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わった。清少納言の父で、三十六歌仙に数えられる。
なお本文の二句は「たえぬ渡や」とあり、読み仮名の行の「たえぬなみたや」と一致しない。ここでは本文の表記に従うが、「渡」は字形の似る「涙」の誤写とみられ、訳と解説は読み仮名の行の「涙」の意で解する。
初句「年ごとに」は、毎年毎年、の意で、除目のたびに失望を重ねてきた年月の長さを表している。
二句「絶えぬ渡や」は、絶えることのない涙が、の意で、「や」は疑問の係助詞である。
三句「つもりつつ」は、積もり積もって、の意で、「つつ」は反復と継続を表す。
四句「いとど深くは」は、ますます深く、の意で、積もった涙の深さをいう。
結句「身を沈むらん」は、我が身を沈めているのだろうか、の意で、係助詞「や」を受けて連体形の「らん」で結んでいる。本巻の第四百四十一首の「沈む」、第四百四十二首の「月の沈む」を受け、次歌の第四百四十四首の「沈む身」へと続いている。
ぢもく:除目。大臣以外の官職を任命する儀式
みやうぶ:命婦。宮中に仕える中級の女官
- 作者
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清原元輔
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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水の面に月の沈むを見ざりせば 我一人とや思ひ果てまし
- 次の歌
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ほどもなく泉ばかりに沈む身は いかなる罪の深きなるらん