世の中を住吉としも思はぬに
何をまつとて我が身経ぬらん
- 歌の意味
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世の中を住みよい所だとも思わないのに、住吉の松のように何を待つというので、我が身はこうして年を経てきたのだろうか。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 462
詞書「題しらず」
世の中を住みよい所とも思わないのに、何を待つというので我が身は年を経てきたのだろうかと詠む歌である。「住吉」に「住み良し」を、「まつ」に「松」と「待つ」を掛け、住吉の松に寄せて、望みもないまま年を重ねてきた身を嘆いている。本巻の第四百五十六首の住吉の松を受け、長寿の象徴である松を、むなしく待ち続ける身の嘆きへと転じている。
初句「世の中を」は、この世の中を、の意である。
二句「住吉としも」は、住みよい所だとも、の意で、「住吉」に「住み良し」を掛けている。「しも」は強めの副助詞である。
三句「思はぬに」は、思わないのに、の意で、「に」は逆接の接続助詞である。
四句「何をまつとて」は、何を待つというので、の意である。「まつ」は住吉の「松」と「待つ」とを掛けた掛詞で、二句の住吉と結んでいる。
結句「我が身経ぬらん」は、我が身は年を経てきたのだろうか、の意で、「ぬ」は完了、「らん」は原因を推量する助動詞である。次歌の第四百六十三首の「世にふる」にも、年を経る身の嘆きが受け継がれている。
まつ:住吉の松と、待つを掛ける
すみよし:住吉と、住み良しを掛ける
ふ:経。年月を過ごす
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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行く末のしるしばかりに残るべき 松さへいたく老いにけるかな
- 次の歌
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いたづらに世にふる物と高砂の 松も我をや友と見るらん