ちちわくに人は言ふとも織りて着む
我が機物に白き麻衣
- 歌の意味
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あれこれと人はうわさするとしても、織って着よう。私の機にかけている白い麻の衣を。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 475
詞書「題しらず」
人があれこれと言うとしても、自分の機で白い麻の衣を織って着ようと詠む歌である。人のうわさに左右されず、自らの思いを貫こうとする心を、白い麻衣を織る営みに託している。前歌の第四百七十四首の月草で摺る衣に続き、機で織る衣を詠んでおり、色の移ろう衣と白い衣とが並べられている。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。
万葉集にも、人がとかく言っても白い麻衣を織り続けようと詠む類歌が見える。
初句「ちちわくに」は、あれこれと、の意とされ、人のうわさのさまざまなことをいう。
二句「人は言ふとも」は、人はうわさするとしても、の意で、「とも」は逆接の仮定を表す。
三句「織りて着む」は、織って着よう、の意で、「む」は意志の助動詞である。ここで句切れとなる。
四句「我が機物に」は、私の機にかけている、の意である。
結句「白き麻衣」は、白い麻の衣、の意で、体言止めである。前歌の染めた衣に対して、白い衣を置いている。
はたもの:機。布を織る道具
あさぎぬ:麻で作った衣
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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月草に衣は摺らん朝露に 濡れての後はうつろひぬとも
- 次の歌
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久方の雨には着ぬをあやしくも 我が衣手の干る時もなき