浅からぬ契り結べる心ばは
手向けの神ぞ知るべかりける
- 歌の意味
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浅くない約束を結んだこの心葉、つまり私の心のほどは、旅の安全を守る手向けの神こそが知っているはずだ。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 485
詞書「物へまかりける人のもとに、幣を結び袋に入れて遣はすとて」
浅くない約束を結んだ私の心のほどは、手向けの神こそが知っているはずだと詠む歌である。詞書から、旅立つ人に餞別の幣を結び袋に入れて贈った折の歌とわかる。袋の紐を「結ぶ」ことと約束を「結ぶ」こととを重ね、贈り物に添える飾りの「心葉」に自らの心を託して、旅人との深い縁を表している。本巻の第四百五十八首に続いて、作者が旅立つ人に幣を贈った折の歌である。
作者の「よしのぶ」は大中臣能宣である。大中臣頼基の子で、伊勢神宮の祭主を務めた。梨壺の五人の一人で、三十六歌仙に数えられる。
初句「浅からぬ」は、浅くない、深い、の意である。
二句「契り結べる」は、約束を結んだ、の意で、「結べ」は袋の紐を結ぶ意を重ねている。「る」は完了の助動詞「り」の連体形である。
三句「心ばは」は、心葉は、の意で、贈り物に添える飾りの心葉に、心のありさまの意を響かせている。
四句「手向けの神ぞ」は、旅人が幣を手向けて道中の安全を祈る神こそが、の意で、「ぞ」は強意の係助詞である。
結句「知るべかりける」は、知っているはずであった、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形の「ける」で結んでいる。
こころば:贈り物に添える飾りの心葉。心のありさまの意を響かせるとされる
たむけのかみ:旅人が幣を手向けて道中の安全を祈る神
むすぶ:袋の紐を結ぶ意と、約束を結ぶ意
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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拾遺和歌集
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暁の寝覚めの千鳥誰がためか 佐保の河原にをちかへり鳴く
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三輪の山しるしの杉はありながら 教へし人はなくて幾世ぞ