- 歌の意味
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空の海に雲の波が立ち、月の舟が星の林の中へ漕ぎ隠れていくのが見える。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 488
詞書「天を詠める」
空を海に、雲を波に、月を舟に、星を林に見立て、月の舟が星の林へ漕ぎ隠れていくのが見えると詠む歌である。詞書から、天を題として詠んだ歌とわかる。夜空の壮大な景を、海を行く舟の姿に重ねた雄大な見立ての歌として名高い。本巻の第四百七十九首の道真の「天つ星」の歌とも、空の星を詠む点で響き合い、ここから本巻の第四百九十一首まで人麻呂の詠物の歌が続く。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。
万葉集巻七に、柿本人麻呂歌集の歌として「天の海に雲の波立ち月の舟星の林に漕ぎ隠る見ゆ」が収められている。
なお本文の四句は「里の林に」とあり、読み仮名の行の「ほしのはやしに」と一致しない。ここでは本文の表記に従うが、「里」は字形の似る「星」の誤写とみられ、訳と解説は「星の林」の意で解する。
初句「空の海に」は、空という海に、の意で、六音の字余りである。空を海に見立てている。
二句「雲の波立ち」は、雲の波が立ち、の意で、雲を波に見立てている。
三句「月の舟」は、月という舟、の意で、月を舟に見立てている。
四句「里の林に」は、星の林に、の意で、群がる星を林に見立てている。
結句「漕ぎ隠る見ゆ」は、漕ぎ隠れていくのが見える、の意である。月が星々の間に沈んでいく様子を、舟が林の陰に漕ぎ隠れる姿で表している。
こぎかくる:舟を漕いで見えなくなる
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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沖つ島雲居の岸を行き返り 文通はさむまはろしもがな
- 次の歌
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河の瀬の渦巻く見れば玉藻刈る 散り乱れたる川の舟かも