鳴る神の音にのみ聞く巻向の
檜原の山を今日見つるかな
- 歌の意味
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噂にばかり聞いていた巻向の檜原の山を、今日この目で見たことだ。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 490
詞書「山を詠める」
噂にばかり聞いていた巻向の檜原の山を、今日初めて見たと詠む歌である。詞書から、山を題として詠んだ歌とわかる。名高い檜原の山を目の当たりにした感動を、雷の音に寄せて噂の高さをいう枕詞を用いて表している。本巻の第四百五十六首の貫之の住吉の松の歌と同じく「音にのみ聞く」と始めて「今日見つるかな」で結び、二首は同じ構成をとっている。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。
万葉集巻七に、ほぼ同じ形の歌が収められている。
初句「鳴る神の」は、雷の、の意で、「音」を導く枕詞である。
二句「音にのみ聞く」は、噂にばかり聞いている、の意である。第四百五十六首の初句と二句「音にのみ聞き渡りつる」と同じ発想である。
三句「巻向の」は、大和国の巻向の、の意である。
四句「檜原の山を」は、檜の茂る山を、の意である。次歌の第四百九十一首にも「三輪の檜原」が詠まれ、檜原の語を共有している。
結句「今日見つるかな」は、今日この目で見たことよ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。第四百五十六首の結句と同じ句である。
なるかみ:雷
ひはら:檜の茂る原や山
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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河の瀬の渦巻く見れば玉藻刈る 散り乱れたる川の舟かも
- 次の歌
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いにしへにありけむ人も我がごとや 三輪の檜原にかざし折りけん