いにしへにありけむ人も我がごとや
三輪の檜原にかざし折りけん
- 歌の意味
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昔ここにいた人も、私と同じように、三輪の檜原で檜の枝をかざしに折ったのだろうか。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 491
詞書「葉を詠める」
昔ここにいた人も、私と同じように三輪の檜原で檜の枝をかざしに折ったのだろうかと詠む歌である。詞書から、葉を題として詠んだ歌とわかる。三輪の檜原で枝を手折りながら、同じ場所で同じことをしたであろう昔の人に思いを馳せ、時を隔てた人との心の通い合いを表している。前歌の第四百九十首と「檜原」の語を共有し、本巻の第四百八十六首の三輪山とも呼応している。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。
万葉集巻七に、ほぼ同じ形の歌が収められている。
初句「いにしへに」は、昔に、の意である。
二句「ありけむ人も」は、いたであろう人も、の意で、「けむ」は過去推量の助動詞「けむ」の連体形である。
三句「我がごとや」は、私と同じように、の意で、「や」は疑問の係助詞である。
四句「三輪の檜原に」は、三輪山の檜の茂る原で、の意である。前歌の四句「檜原の山を」と「檜原」の語を共有している。
結句「かざし折りけん」は、かざしにしようと枝を折ったのだろうか、の意で、係助詞「や」を受けて連体形の「けん」で結んでいる。
かざし:髪や冠に挿す草木の枝や花
いにしへ:昔
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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鳴る神の音にのみ聞く巻向の 檜原の山を今日見つるかな
- 次の歌
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人知れず越ゆと思ふらしあしひきの 山下水に影は見えつつ