惜しからぬ命やさらに延びぬらん
終はりの煙しむる野辺にて
- 歌の意味
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惜しくもないこの命が、かえってさらに延びてしまうことだろうか。最期の煙を立てる場所として占めておいたこの野辺で。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 502
詞書「神明寺の辺に無常所設けて侍りけるが、いとおもしろく侍りければ」
惜しくもない命が、かえってさらに延びてしまうだろうか、最期の煙を立てる場所と定めたこの野辺でと詠む歌である。詞書から、神明寺のあたりに自らの墓所を設けたところ、たいそう趣深い場所であったので詠んだ歌とわかる。死後の場所として選んだ野辺があまりに美しいので、かえって命が延びそうだという逆説で、老いの身の諦念とともに軽妙な機知を表している。前歌の第五百一首の命を惜しまない心を受け、本巻の第四百九十九首と同じく、作者の歌が露と命の歌群に置かれている。
作者の「もとすけ」は清原元輔である。清原深養父の孫で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わった。清少納言の父で、三十六歌仙に数えられる。
初句「惜しからぬ」は、惜しくもない、の意である。前歌の「惜しとにはあらず」と同じ心を受けている。
二句「命やさらに」は、命がかえってさらに、の意で、「や」は疑問の係助詞である。
三句「延びぬらん」は、延びてしまうだろうか、の意で、係助詞「や」を受けて連体形の「らん」で結んでいる。ここで句切れとなる。
四句「終はりの煙」は、最期の火葬の煙、の意である。
結句「しむる野辺にて」は、自分の場所として占めておいた野辺で、の意で、「しむる」は占める意の「しむ」の連体形である。倒置によって、命が延びる理由となる場所を後から示している。
むじやうどころ:無常所。墓所
しむ:占む。自分の場所として占める
のべ:野辺。ここでは火葬や埋葬を行う野
- 作者
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清原元輔
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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露の命惜しとにはあらず君を又 見でやと思ふぞ悲しかりける
- 次の歌
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限りなき涙の露に結ばれて 人のしもとはなるにやあるらん