侘び人は憂き世の中に生けらじと
思ふ事さへかなはざりけり
- 歌の意味
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失意の人は、このつらい世の中に生きてはいまいと思うことさえも、かなわないのであった。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 505
詞書「司申すに賜はらざりける頃、人の訪らひにおこせたりける返事に」
失意の人は、つらい世の中に生きてはいまいと思うことさえかなわないと詠む歌である。詞書から、官職を願い出たのに与えられなかった頃、見舞いの便りをくれた人への返事として詠んだ歌とわかる。望む官職が得られないばかりか、世を捨てたいという願いさえかなわないと嘆き、二重の失意を表している。前の二首に続いて官途の不遇を嘆き、本巻の第四百八十一首、第五百四首と「憂き世」の語を共有している。
作者の「源景明」は、平安時代中期の官人、歌人であるが、伝の詳細は明らかでない。
初句「侘び人は」は、失意の人は、の意で、作者自身をいう。
二句「憂き世の中に」は、このつらい世の中に、の意である。
三句「生けらじと」は、生きてはいまいと、の意で、「じ」は打消の意志を表す助動詞である。
四句「思ふ事さへ」は、思うことさえも、の意で、「さへ」は添加の副助詞である。官職ばかりか、という含みを持たせている。
結句「かなはざりけり」は、かなわないのであった、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。
わびびと:失意の人。思い悩む人
つかさまうす:官職を願い出る
- 作者
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源景明
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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憂き世にはゆき隠れなでかき曇り ふるは思ひのほかにもあるかな
- 次の歌
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世の中にあらぬ所も得てしがな 年古りにたる形隠さむ