風をいたみ思はぬ方に泊まりする
海人の小舟もかくやわぶらん
- 歌の意味
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風が激しいので、思いもしない方角の港に泊まることになる漁師の小舟も、このように困り果てているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 963
詞書「女のもとにまかりけるを、もとの妻の制し侍りければ」
風が激しいために思いもしない港に泊まることになる漁師の小舟も、このように困り果てているのだろうか、と詠む歌である。恋人のもとへ行こうとして引き止められ、心ならずもとどまることになった自分を、風に流されて望まぬ港に泊まる小舟にたとえている。
詞書によれば、女のもとへ出かけようとしたところ、もとの妻に止められたので詠んだ歌である。妻の制止を激しい風に、行き先を阻まれた自分を小舟にたとえ、機知のうちにやるせなさを表している。
作者の「源景明」は、大蔵少輔源兼光の子で、参議源正明の孫にあたる。従五位下長門守に至った。藤原頼忠の求めに応じて歌を詠むなど、歌人としても知られた。
初句「風をいたみ」は、風が激しいので、の意で、「を…み」は原因や理由を表す。
二句「思はぬ方に」は、思いもしない方角に、の意である。
三句「泊まりする」は、港に停泊する、の意である。
四句「海人の小舟も」は、漁師の小さな舟も、の意で、「も」は自分と同じように、の意を含んでいる。
結句「かくやわぶらん」は、このように困り果てているのだろうか、の意で、係助詞「や」を受けて、現在推量の助動詞「らん」の連体形で結んでいる。
とまり:泊まり。舟が停泊すること、またその港
あま:海人。漁師
わぶ:侘ぶ。困り果てる、思い悩む
- 作者
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源景明
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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まだ知らぬおもひに燃ゆる我が身かな さるは涙の河の中にて
- 次の歌
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瀬を早み絶えず流るる水よりも 尽きせぬものは涙なりけり