瀬を早み絶えず流るる水よりも
尽きせぬものは涙なりけり
- 歌の意味
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瀬の流れが速いので絶えず流れていく水よりも、尽きることのないものは私の涙であった。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 964
詞書「題しらず」
流れが速いために絶えず流れていく川の水よりも、尽きることのないのは私の涙であった、と詠む歌である。川の水の絶え間ない流れと比べて、それをもしのぐ涙の多さを詠み、尽きることのない恋の悲しみを表している。
初句「瀬を早み」は、瀬の流れが速いので、の意で、「を…み」は原因や理由を表す。本巻の第九百六十三首の初句「風をいたみ」と、同じ形で歌い起こしている。
二句「絶えず流るる」は、絶えず流れる、の意である。
三句「水よりも」は、川の水よりも、の意で、比較を表している。
四句「尽きせぬものは」は、尽きることのないものは、の意である。
結句「涙なりけり」は、涙であった、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。本巻の第九百六十二首の「涙の河」に続いて、涙を流れる水と比べている。
せ:瀬。川の浅く流れの速い所
つきす:尽きす。尽きる、なくなる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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風をいたみ思はぬ方に泊まりする 海人の小舟もかくやわぶらん
- 次の歌
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我がごとく物思ふ人はいにしへも 今行く末もあらじとぞ思ふ