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我が事はえもいはしろの結び松
千歳を経とも誰か解くべき

歌の意味
私の謎はとても言い表せない。岩代の結び松のように、千年を経たとしても、誰が解くことができようか。
鑑賞
巻第九 雑歌下 526

詞書「なぞなぞ物語しける所に」
 私の出す謎はとても言葉では言い表せず、岩代の結び松のように、千年経っても誰も解くことはできまいと詠む歌である。詞書から、謎をかけ合う遊びの場で詠んだ歌とわかる。万葉集の有間皇子の「磐代の浜松が枝を引き結び」の歌で知られる岩代の結び松を持ち出し、結んだ松の枝と、解けない謎とを重ねて、自分の謎の難しさを誇っている。
 作者の「そねのよしただ」は曾禰好忠である。丹後掾を務めたことから曾丹と呼ばれた。中古三十六歌仙の一人で、百人一首の「由良の門を」の歌で知られる。

 初句「我が事は」は、私の言うことは、私の謎は、の意である。
 二句「えもいはしろの」は、「えも言はじ」と地名の「岩代」を掛ける掛詞である。「え〜じ」は、とても〜できない、の意を表す。
 三句「結び松」は、松の枝を結んで幸いを祈ったもので、岩代の結び松を指す。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
 四句「千歳を経とも」は、千年を経たとしても、の意で、「とも」は逆接の仮定を表す。本巻の第五百十六首、第五百十七首の松の問答と、「千歳」と「松」の取り合わせを共有している。
 結句「誰か解くべき」は、誰が解くことができようか、の意で、「か」は反語を表す。結び松を「解く」と、謎を「解く」を重ねている。

いはしろ:「言はじ」の意と、紀伊国の地名「岩代」を掛ける
むすびまつ:結び松。松の枝を結んで幸いを祈ったもの
なぞなぞものがたり:なぞなぞ物語。謎をかけ合って解き合う遊び
作者
曾禰好忠
出典
拾遺和歌集
前の歌
種なくてなき物草は生ひにけり まくてふ事はあらじとぞ思ふ
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あしひきの山の小寺に住む人は 我が言ふこともかなはざりけり