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陸奥の安達の原の黒塚に
鬼こもれりと聞くはまことか

歌の意味
陸奥の安達が原の黒塚に、鬼がこもっていると聞くのは本当か。
鑑賞
巻第九 雑歌下 559

詞書「陸奥国名取の郡黒塚といふ所に、重之が妹あまたありと聞きて、言ひ遣はしける」
 陸奥の安達が原の黒塚に、鬼がこもっていると聞くのは本当かと問いかけた歌である。詞書から、陸奥国の黒塚という所に源重之の妹たちが大勢いると聞いて、言い送った歌とわかる。人里離れた地に住む重之の妹たちを、黒塚にこもる鬼に見立ててからかっている。この歌は後に安達が原の鬼女伝説と結びつき、謡曲の「黒塚」などの題材となった。大和物語にも見える歌である。
 作者の「かねもり」は平兼盛である。光孝天皇の流れをくむ篤行王の子で、臣籍に降って平氏となった。三十六歌仙に数えられ、天徳内裏歌合で壬生忠見と競った百人一首の「しのぶれど」の歌で知られる。
 なお本文の結句は「きくはまことか」とあり、読み仮名の行の「いふはまことか」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。

 初句「陸奥の」は、陸奥国の、の意である。
 二句「安達の原の」は、陸奥国の安達が原の、の意である。
 三句「黒塚に」は、黒塚という所に、の意で、詞書の地名を受けている。
 四句「鬼こもれりと」は、鬼がこもっていると、の意で、「り」は存続の助動詞である。重之の妹たちを鬼に見立てている。
 結句「聞くはまことか」は、聞くのは本当か、の意で、「か」は疑問を表す終助詞である。

くろつか:黒塚。陸奥国安達郡の地名
こもる:籠る。中に入って外に出ない
作者
平兼盛
出典
拾遺和歌集
前の歌
定めなくなるなる瓜のつら見ても 立ちや寄り来む狛のすき者
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