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我問はば神代のことも答へなん
昔を知れる住吉の松

歌の意味
私が尋ねたならば、神代のことも答えてほしい。昔を知っている住吉の松よ。
鑑賞
巻第十 神楽歌 590

詞書は前の歌に続き「住吉に詣でて」
 私が尋ねたならば神代のことも答えてほしい、昔を知っている住吉の松よと呼びかけた歌である。詞書は前歌の第五百八十九首と同じで、住吉大社に参詣した折の歌である。神代から生き続けてきた住吉の松を、昔を知る語り部に見立てて問いかけている。前歌が神と松の相生の久しさを詠んだのを受け、その松に神代の昔を尋ねようとしている。
 作者の恵慶法師は、平安中期の僧で、播磨国の国分寺の講師を務めたとされる。中古三十六歌仙の一人で、百人一首の「八重むぐら」の歌で知られる。

 初句「我問はば」は、私が尋ねたならば、の意で、「ば」は未然形について仮定を表す。
 二句「神代のことも」は、神代のことも、の意で、前歌の第五百八十九首の初句と二句「天降る現人神の」を受けている。
 三句「答へなん」は、答えてほしい、の意で、「なん」は他に対する願望を表す終助詞である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
 四句「昔を知れる」は、昔を知っている、の意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
 結句「住吉の松」は、住吉の浜の松で、体言止めであり、呼びかけとなっている。前歌の結句「住吉の松」と同じ句である。

かみよ:神代。神々が治めていたとされる遠い昔
作者
恵慶法師
出典
拾遺和歌集
前の歌
天降る現人神の相生を 思へば久し住吉の松
次の歌
幾世にか語り伝へむ筥崎の 松の千歳のひとつならねば