幾世にか語り伝へむ筥崎の
松の千歳のひとつならねば
- 歌の意味
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いったい幾世にわたって語り伝えていくのだろうか。筥崎の松が経てきた千年は、一つだけではないのだから。
- 鑑賞
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巻第十 神楽歌 591
詞書「筥崎を見侍りて」
筥崎の松は千年を幾度も重ねてきたのだから、いったい幾世にわたって語り伝えていくのだろうかと詠む歌である。詞書から、筑前国の筥崎を訪れて見たときの歌とわかる。筥崎宮の松の長い年月をたたえ、その古さは語り尽くせないほどだと感嘆している。前の二首の第五百八十九首、第五百九十首の住吉の松に続き、神の社の松を詠む歌である。
作者の源重之は、清和源氏の源兼信の子で、相模権守などを務め、晩年は陸奥に下った。三十六歌仙に数えられ、百人一首の「風をいたみ」の歌で知られる。
初句「幾世にか」は、どれほどの世にわたってか、の意で、係助詞「か」は二句の「む」の連体形で結ぶ係り結びである。
二句「語り伝へむ」は、語り伝えていくのだろうか、の意で、ここで句切れとなる二句切れの歌である。前歌の第五百九十首の「答へなん」と、松に昔を語らせる趣向を共有している。
三句「筥崎の」は、筑前国の筥崎の、の意で、筥崎宮がある地である。
四句「松の千歳の」は、松の千年の、の意で、前の二首の「住吉の松」に続き松を詠んでいる。
結句「ひとつならねば」は、一つではないのだから、の意で、千年が幾度も重なっていることをいう。「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形、「ば」は原因を表す。
はこざき:筥崎。筑前国の地名。筥崎宮がある
ちとせ:千歳。千年。長い年月
- 作者
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源重之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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我問はば神代のことも答へなん 昔を知れる住吉の松
- 次の歌
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生ひ茂れ平野の原のあや杉よ 濃き紫にたち重ぬべく