年もよし蚕飼も得たり大国の
里頼もしく思ほゆるかな
- 歌の意味
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今年は稲の実りもよく、蚕の飼育もうまくいった。大国の里は頼もしく思われることだ。
- 鑑賞
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巻第十 神楽歌 614
詞書「天禄元年大嘗会風俗:大国の里」
今年は稲の実りもよく、蚕の飼育もうまくいったので、大国の里は頼もしく思われると詠む歌である。地名の「大国」に大きく豊かな国の意を重ね、五穀と養蚕の豊かさに、新しい御代の繁栄を祝っている。
詞書の「天禄元年大嘗会風俗」は、円融天皇の即位に伴って天禄元年に行われた大嘗会で奉られた風俗の歌であることを示す。ここから第六百十七首まで、前の安和元年の一連と同じく、地名を題とする歌が並び、同じ地名が二度の大嘗会で詠まれている。
作者の「かねもり」は平兼盛である。光孝天皇の流れをくむ篤行王の子で、臣籍に降って平氏となった。三十六歌仙に数えられ、天徳内裏歌合で壬生忠見と競った百人一首の「しのぶれど」の歌で知られる。
初句「年もよし」は、今年の実りもよい、の意で、「年」は稲の実りをいう。ここで句切れとなる初句切れの歌である。
二句「蚕飼も得たり」は、蚕の飼育もうまくいった、の意で、「たり」は完了の助動詞である。ここでも句が切れ、初句と対句をなしている。
三句「大国の」は、題の地名の大国の、の意で、大きく豊かな国の意を重ねている。
四句「里頼もしく」は、里が頼もしく、の意である。次歌の第六百十五首の二句「吉田の里の」と、里の語を共有している。
結句「思ほゆるかな」は、思われることだ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。
こがひ:蚕飼。蚕を飼い育てること
おもほゆ:思ほゆ。自然と思われる
- 作者
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平兼盛
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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万代を明らけく見む鏡山 千歳のほどは塵も曇らじ
- 次の歌
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名に立てる吉田の里の杖なれば つくとも尽きじ君が万代