名に立てる吉田の里の杖なれば
つくとも尽きじ君が万代
- 歌の意味
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名高い吉田の里の杖であるから、いくら突いても、君の万代は尽きることがないだろう。
- 鑑賞
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巻第十 神楽歌 615
詞書「天禄元年大嘗会風俗:吉田の里」
名高い吉田の里の杖であるから、いくら突いても君の万代は尽きないだろうと詠む歌である。杖を「突く」と、命が「尽く」を掛け、長寿をもたらす杖に託して君の御代の永遠を祝っている。前歌の第六百十四首に続き、里を題とする歌である。
詞書の「天禄元年大嘗会風俗」は、円融天皇の即位に伴って天禄元年に行われた大嘗会で奉られた風俗の歌であることを示す。ここから第六百十七首まで、前の安和元年の一連と同じく、地名を題とする歌が並び、同じ地名が二度の大嘗会で詠まれている。
作者の「かねもり」は平兼盛である。光孝天皇の流れをくむ篤行王の子で、臣籍に降って平氏となった。三十六歌仙に数えられ、天徳内裏歌合で壬生忠見と競った百人一首の「しのぶれど」の歌で知られる。
初句「名に立てる」は、名高い、の意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
二句「吉田の里の」は、吉田の里の、の意で、題の地名である。前歌の第六百十四首の四句「里頼もしく」と、里の語を共有している。
三句「杖なれば」は、杖であるから、の意で、「ば」は已然形について原因を表す。第五百八十首の結句「切れる杖なり」と、長寿をもたらす杖を詠む点で通い合っている。
四句「つくとも尽きじ」は、「つく」が杖を「突く」と「尽く」を掛ける掛詞である。いくら突いても尽きない、の意を表し、「じ」は打消推量の助動詞である。
結句「君が万代」は、君の万代、の意で、体言止めである。
つく:杖を「突く」意と、「尽く」意を掛ける
なにたつ:名に立つ。評判になる、名高い
- 作者
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平兼盛
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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年もよし蚕飼も得たり大国の 里頼もしく思ほゆるかな
- 次の歌
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泉河のどけき水の底見れば 今年は影ぞ澄みまさりける