忍ぶれど色に出でにけり我が恋は
物や思ふと人の問ふまで
- 歌の意味
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人に知られまいと隠してきたけれど、顔色に出てしまったことだ、私の恋は。何か物思いをしているのかと、人が尋ねるほどに。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 622
詞書は前の歌に続き「天暦御時歌合」
人に知られまいと忍んでいたけれど、私の恋は顔色に出てしまった、何か物思いをしているのかと人が尋ねるほどに、と詠む歌である。隠そうとしても隠しきれずに表に出てしまう恋心を、人から問われるという具体的な場面で表している。詞書は前歌の第六百二十一首と同じで、天徳四年の内裏歌合で前歌の壬生忠見の歌と番えられた。判者の藤原実頼が判じかねていたところ、村上天皇がひそかにこの歌を口ずさまれたことから、勝ちと定まったと伝えられる。
作者の平兼盛は、光孝天皇の流れをくむ篤行王の子で、臣籍に降って平氏となった。駿河守などを務め、三十六歌仙に数えられる。この歌は百人一首に採られている。
初句「忍ぶれど」は、人に知られまいと隠していたけれど、の意で、「ど」は逆接の接続助詞である。前歌の第六百二十一首の四句「人知れずこそ」と同じく、恋を秘める心から始まっている。
二句「色に出でにけり」は、顔色や素振りに表れてしまったことだ、の意で、ここで句切れとなる二句切れの歌である。八音の字余りの句である。「色に出づ」は本巻で繰り返される言い回しで、第六百二十五首、第六百三十三首の「出でぬべき」、第六百三十二首、第六百三十四首の「色に出でずは」にも見える。
三句「我が恋は」は、私の恋は、の意で、二句の主語を倒置して示している。
四句「物や思ふと」は、物思いをしているのかと、の意で、係助詞「や」は疑問を表す。
結句「人の問ふまで」は、人が尋ねるほどに、の意で、「まで」は程度を表す。前歌が噂によって恋を知られたのに対し、この歌は顔色から人に問われるまでを詠み、恋の知られ方で対をなしている。
しのぶ:忍ぶ。人に知られないように隠す
いろ:色。顔色や素振りに表れる様子
- 作者
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平兼盛
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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恋すてふ我が名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか
- 次の歌
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色ならば移るばかりも染めてまし 思ふ心を知る人のなさ