見ぬ人の恋しきやなぞおぼつかな
誰とか知らむ夢に見ゆとも
- 歌の意味
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まだ見たこともない人が恋しいのは、なぜなのだろう。心もとないことだ。たとえ夢に見えたとしても、それが誰だとわかるだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 629
詞書は前の歌に続き「題しらず」
会ったこともない人が恋しいのはなぜか、心もとない、夢に見えたとしても誰とわかるだろうか、と詠む歌である。顔も知らない人を恋う心の不思議さと頼りなさを、夢に見ても見分けられないという形で表している。第六百二十七首の「みねど恋しき」と同じく見ぬ恋を詠み、次歌の第六百三十首とともに夢を詠む歌が二首並ぶ。
初句「見ぬ人の」は、まだ見たことのない人が、の意で、第六百六十五首の二句「見ぬ人恋ふる」と同じく、見ぬ人への恋を詠んでいる。
二句「恋しきやなぞ」は、恋しいのはなぜか、の意で、「や」は疑問、「なぞ」は、なぜ、の意である。
三句「おぼつかな」は、心もとないことだ、の意で、形容詞「おぼつかなし」の語幹を用いて詠嘆を表している。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「誰とか知らむ」は、誰とわかるだろうか、の意で、係助詞「か」は反語を表し、「む」の連体形で結ぶ係り結びである。
結句「夢に見ゆとも」は、たとえ夢に見えても、の意で、「とも」は逆接の仮定を表す。倒置して四句に返っている。次歌の第六百三十首の初句「夢よりぞ」と、夢の語を共有している。
みゆ:見ゆ。見える、姿が現れる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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天雲の八重雲隠れ鳴る神の 音にのみやは聞きわたるべき
- 次の歌
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夢よりぞ恋しき人を見そめつる 今はあはする人もあらなん