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夢よりぞ恋しき人を見そめつる
今はあはする人もあらなん

歌の意味
夢の中から、恋しい人を見初めたのだった。今は、その夢を解き合わせて、その人に逢わせてくれる人もいてほしいものだ。
鑑賞
巻第十一 恋歌一 630

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 夢の中で恋しい人を見初めたので、今はその夢を解き、その人に逢わせてくれる人がいてほしいと詠む歌である。「あはする」に夢を「合はする」と人を「逢はする」を掛け、夢から始まった恋が現実の逢瀬につながることを願っている。前歌の第六百二十九首が夢に見ても誰とわからないと嘆いたのに対し、この歌は夢で見初めた人に逢いたいと願う構図となっている。

 初句「夢よりぞ」は、夢の中から、の意で、「より」は起点を表し、係助詞「ぞ」は三句の「つる」で結ぶ係り結びである。前歌の第六百二十九首の結句「夢に見ゆとも」と、夢の語を共有している。
 二句「恋しき人を」は、恋しい人を、の意である。
 三句「見そめつる」は、見初めたのだった、の意で、「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
 四句「今はあはする」は、「あはする」が夢を「合はする」意と、人に「逢はする」意を掛ける掛詞である。
 結句「人もあらなん」は、人もいてほしい、の意で、「なん」は他に対する願望を表す終助詞である。

みそむ:見初む。初めて見る、見て恋心を抱き始める
あはす:夢を「合はす」(夢の吉凶を判じる)意と、人を「逢はす」意を掛ける
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
見ぬ人の恋しきやなぞおぼつかな 誰とか知らむ夢に見ゆとも
次の歌
かくてのみありその浦の浜千鳥 よそになきつつ恋ひやわたらむ