朝な朝なけづれば積もる落ち髪の
乱れて物を思ふころかな
- 歌の意味
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毎朝毎朝くしけずると積もっていく抜け毛が乱れるように、心乱れて物思いをするこのごろであることよ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 669
詞書は前の歌に続き「題しらず」
毎朝くしけずるたびに積もっていく抜け毛が乱れるように、心乱れて物思いをするこのごろだと詠む歌である。上の句を序詞とし、日々積もる抜け毛の乱れに、日ごとに募る恋の物思いの乱れをよそえている。身近な日常の景から恋の心へと転じるところに工夫がある。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「朝な朝な」は、毎朝毎朝、の意で、六音の字余りの句である。
二句「けづれば積もる」は、くしけずると積もる、の意で、「ば」は已然形について、〜すると、の意を表す。
三句「落ち髪の」は、抜け落ちた髪のように、の意で、ここまでが四句の「乱れ」を導く序詞である。
四句「乱れて物を」は、心が乱れて物を、の意で、髪の乱れと心の乱れを重ねている。
結句「思ふころかな」は、物思いをするこのごろであることよ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。
けづる:梳る。髪をくしでとかす
おちがみ:落ち髪。抜け落ちた髪
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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み熊野の浦の浜木綿百重なる 心は思へど直に逢はぬかも
- 次の歌
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我がためはたな井の清水ぬるけれど なほかきやらむさてはすむやと