なき名のみたつたの山の青つづら
又くる人も見えぬ所に
- 歌の意味
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身に覚えのない浮き名ばかりが立つ。竜田山の青つづらを繰るように、再び訪ねて来る人の姿も見えない所なのに。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 699
詞書は前の歌に続き「題しらず」
身に覚えのない浮き名ばかりが立つ、青つづらを繰るように再び訪ねて来る人も見えない所なのに、と詠む歌である。「たつた」に浮き名が「立つ」と「竜田」山を、「くる」に青つづらを「繰る」と人が「来る」を掛け、人の訪れもない寂しさの中で噂ばかりが立つ理不尽さを嘆いている。前歌の第六百九十八首に続き、なき名を詠む一連の歌である。
初句「なき名のみ」は、身に覚えのない浮き名ばかりが、の意である。次歌の第七百首の初句「無き名のみ」と同じ句である。
二句「たつたの山の」は、「たつ」が浮き名が「立つ」と、大和国の歌枕の「竜田」山を掛ける掛詞である。
三句「青つづら」は、山に生える青々としたつる草で、「繰る」を導いている。
四句「又くる人も」は、「くる」が青つづらを「繰る」と、人が「来る」を掛ける掛詞である。
結句「見えぬ所に」は、見えない所なのに、の意で、倒置して初句の嘆きに返っている。
たつ:浮き名が「立つ」意と、「竜田」山の「たつ」を掛ける
あをつづら:青葛。山野に生えるつる草
くる:つる草を「繰る」意と、人が「来る」意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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春の野に生ふるなきなのわびしきは 身をつみてだに人の知らぬよ
- 次の歌
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無き名のみたつの市とは騒げども いさまだ人をうるよしもなし