暁のなからましかば白露の
おきてわびしき別れせましや
- 歌の意味
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もし暁というものがなかったならば、白露が置くように起きて、こんなにつらい別れをすることがあっただろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 715
詞書は前の歌に続き「はじめて女のもとにまかりて、あしたにつかはしける」
もし暁というものがなかったら、白露が置くように起きて別れるつらさを味わうことはなかっただろうと詠む歌である。詞書は前歌の第七百十四首と同じで、初めて女のもとを訪ねた翌朝に贈った後朝の歌である。「おき」に露が「置き」と人が「起き」を掛け、暁の露のはかなさに、夜明けに別れなければならない嘆きを重ねている。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「暁の」は、夜明け前のまだ暗いころの、の意で、男が女のもとを去る時刻である。本巻の第七百二十六首の初句「暁の」と同じ語である。
二句「なからましかば」は、もしなかったならば、の意で、「ましか」は反実仮想の助動詞「まし」の未然形、「ば」は仮定を表す。本巻の第七百七十四首の二句「なからましかば」と同じ句である。
三句「白露の」は、白く光る露の、の意で、「置く」を導いている。
四句「おきてわびしき」は、「おき」が露が「置き」と、人が床から「起き」を掛ける掛詞である。
結句「別れせましや」は、別れをしただろうか、の意で、「まし」は反実仮想、「や」は反語を表す。二句の「ましかば」と呼応して反実仮想の構文をなしている。
あかつき:暁。夜明け前のまだ暗いころ
おく:露が「置く」意と、人が「起く」意を掛ける
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
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逢ふことを待ちし月日のほどよりも 今日の暮れこそ久しかりけれ
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逢ひ見てもなほ慰まぬ心かな 幾千夜寝てか恋の覚むべき