百羽がき羽かく鴫も我がごとく
朝わびしき数はまさらじ
- 歌の意味
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幾度も羽をかく鴫でさえ、私のように朝につらい思いをする数は、まさりはしないだろう。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 724
詞書「題しらず」
百羽がきといわれるほど何度も羽をかく鴫でさえ、私ほど朝につらい思いをする数は多くあるまいと詠む歌である。古今和歌集の「暁の鴫の羽がき百羽がき君が来ぬ夜は我ぞ数かく」を本歌とし、来ない人を待って思い悩む数を、鴫が羽をかく数にたとえた趣向を踏まえている。本歌が人の来ない夜を数えたのに対し、この歌は逢った後の朝ごとのつらさを数えている。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「百羽がき」は、何度も繰り返し羽をかくこと、の意で、本歌の「百羽がき」を受けている。
二句「羽かく鴫も」は、羽をかく鴫も、の意で、鴫は明け方に何度も羽ばたくとされた。
三句「我がごとく」は、私のように、の意である。
四句「朝わびしき」は、朝につらい、の意で、後朝の別れのつらさをいう。
結句「数はまさらじ」は、数はまさらないだろう、の意で、「じ」は打消推量の助動詞である。本歌の「数かく」を受け、つらさの数を鴫の羽がきと比べている。
ももはがき:百羽搔き。鳥が何度も羽ばたくこと
はねかく:羽搔く。鳥が羽ばたく、羽をしごく
しぎ:鴫。水辺にすむ鳥
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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日のうちに物を二たび思ふかな 疾く明けぬると遅く暮るると
- 次の歌
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現にも夢にも人に夜し逢へば 暮れゆくばかりうれしきはなし