片岸の松のうきねと忍びしは
さればよつひに現れにけり
- 歌の意味
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片岸に生える松の浮き根のように、つらい独り寝として忍んでいた恋は、思ったとおり、とうとう人に知られてしまった。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 743
詞書「題しらず」
片岸に生える松の浮いた根のように、つらい思いで忍んでいた恋は、案の定とうとう人に知られてしまったと詠む歌である。「うきね」に松の「浮き根」と「憂き寝」を掛け、崖に根を露わにする松に、隠しきれず露見した恋を重ねている。第七百三十九首が松の根が現れるように知られてしまいたいと願ったのに対し、この歌は実際に現れてしまったと嘆き、忍ぶ恋の一連を結んでいる。
初句「片岸の」は、片側が切り立った岸の、の意である。
二句「松のうきねと」は、「うきね」が松の「浮き根」と、つらい独り寝の「憂き寝」を掛ける掛詞である。本巻の第七百三十九首の四句「松の根ながら」と、松の根を詠む点で共通している。
三句「忍びしは」は、忍んでいた恋は、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
四句「さればよつひに」は、思ったとおり、とうとう、の意で、「さればよ」は予想が当たったときの語である。
結句「現れにけり」は、現れてしまったことだ、の意で、本巻の第七百三十九首の結句「現れなばや」に対し、願いが現実となったことを示している。
かたぎし:片岸。片側が崖となった岸
うきね:松の「浮き根」と、つらい独り寝の「憂き寝」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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なにせむに結びそめけん岩代の 松は久しきものと知る知る
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逢ひ見ては幾久さにもあらねども 年月のごと思ほゆるかな