明日知らぬ我が身なりとも恨みおかむ
この世にてのみやまじと思へば
- 歌の意味
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明日のこともわからない我が身であっても、恨みを言い残しておこう。この恋は、この世だけで終わるものではないと思うので。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 755
詞書「懸想し侍りける女の、五月夏至日なりければ、疑ひなく思ひたゆみてもの言ひ侍りけるに、親しきさまになりにければ、いみじく恨みわびて、のちにさらに逢はじと言ひ侍りければ」
明日の命もわからない身であっても恨みを言い残しておこう、この恋はこの世だけで終わりはしないと思うからと詠む歌である。詞書によれば、思いを寄せていた女が、五月の夏至の日であったので疑いもなく気を許して話をしていたところ、親しい間柄になってしまい、ひどく恨み嘆いて、二度と逢わないと言ってきたので詠んだ歌である。逢うことを拒まれた男が、来世までも続く思いの深さを恨みの形で訴えている。
作者の「よしのぶ」は大中臣能宣である。伊勢神宮の祭主を務め、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進にあたった。三十六歌仙に数えられる。
初句「明日知らぬ」は、明日のこともわからない、の意で、命のはかなさをいう。
二句「我が身なりとも」は、我が身であっても、の意で、「とも」は逆接の仮定を表す。
三句「恨みおかむ」は、恨みを言い残しておこう、の意で、「む」は意志の助動詞である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「この世にてのみ」は、この世だけで、の意で、来世までも続くことを思わせる。
結句「やまじと思へば」は、終わるまいと思うので、の意で、「じ」は打消推量の助動詞である。倒置して三句の理由を示している。
けさう:懸想。異性に思いを寄せること
やむ:止む。終わる
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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知るや君知らずはいかにつらからむ 我がかくばかり思ふ心を
- 次の歌
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思ふなと君は言へども逢ふことを いつと知りてか我が恋ひざらん