草隠れかれにし水はぬるくとも
むすびし袖は今も乾かず
- 歌の意味
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草に隠れて涸れてしまった水がぬるくなったように、あなたが離れて情がさめてしまっても、かつてその水を手にすくった私の袖は、契りを結んだ名残の涙で今も乾かない。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 760
詞書「古くもの言ひ侍りける人に」
草に隠れて涸れた水がぬるくなっても、その水をすくった袖は今も乾かないと詠む歌である。詞書から、昔親しくしていた人に贈った歌とわかる。「かれ」に水が「涸れ」と人が「離れ」を、「むすび」に水を「掬び」と契りを「結び」を掛けている。相手の心は離れて冷めてしまっても、かつて契った自分の袖は今も涙に濡れていると、変わらない思いを訴えている。
作者の「もとすけ」は清原元輔である。清少納言の父で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進にあたった。三十六歌仙に数えられる。
初句「草隠れ」は、草に隠れて、の意である。
二句「かれにし水は」は、「かれ」が水が「涸れ」と、人が「離れ」を掛ける掛詞である。「に」は完了、「し」は過去の助動詞である。
三句「ぬるくとも」は、ぬるくなっても、の意で、相手の情が冷めたことを重ねている。「とも」は逆接の仮定を表す。
四句「むすびし袖は」は、「むすび」が水を手で「掬び」と、契りを「結び」を掛ける掛詞である。
結句「今も乾かず」は、今も乾かない、の意で、涙に濡れ続けていることをいう。次歌の第七百六十一首の結句「まづそほつらむ」と、濡れる袖を詠む点で共通している。
かる:水が「涸る」意と、人が「離る」意を掛ける
むすぶ:水を手で「掬ぶ」意と、契りを「結ぶ」意を掛ける
- 作者
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清原元輔
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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我ながらさももどかしき心かな 思はぬ人はなにか恋しき
- 次の歌
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我が思ふ人は草葉の露なれや かくれば袖のまづそほつらむ